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ナザレ研修会とは?

 「ナザレ研修会」は「聖書に親しむ会」を母胎としながら、会員の一人遠藤徹氏(日本聖公会横浜教区横浜山手聖公会信徒)を会長に2012年に立ち上げられた研修会です。「聖書に親しむ会」は故太田博之氏(日本聖公会東京教区聖マルチン教会信徒)を中心に、小林進司祭、遠藤徹氏の三氏がコーディネーターとなって2000年以来継続されて来た夏期の聖書の学び合いのグループです。ナザレ研修会の創設に当たっては遠藤氏の弟である故遠藤哲(さとる)主教の働きのために献げられた一信徒の献金を基金としています。
 この会の活動は、目下、日本聖公会の司祭であり、旧約聖書学者である小林進師の連続講義を基本にしながら、年に一、二回講演会を開催しています。

 その目的は本ホームページの「会長による挨拶」に詳しく述べられている通りですが、現代という時代にふさわしく向かい合うことによって、世界の調和と平和に真に貢献するキリスト者とされることを目指しています。そのためには、聖書を新たな研究に基づきながら新しく読み直すと共に、また他宗教、他教派、他文化の理解を深め、偏見や独断から解放されることに努めます。
 本会は日本聖公会のナザレ修女会の多大なご協力とご支援を受け、同修道院を会場に、また活動拠点にしています。名称はそこから取られました。
 当会は固定会員制を採らず、この会が開催する講義、講演には宗派・教派を問わず、どなたでも、聴講料をその都度会場で支払って、自由に参加することができます。

 なお、この会の活動は2021年までを予定しております。

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二つのコースの違いについて

本研修会には「旧約聖書コース」と「新約聖書コース」の二つがありますが、二つの講義のタイプはかなり異なります。

旧約聖書コースの講義は、一言で言い表せば、旧約聖書の「文献学的研究」の講義です。旧約聖書は紀元前何百年も前から、長い時間を経て、次第次第に書き上げられ、編まれて来た、巨大な「古文書」ですから、その中の一つ一つが、どのような背景の下に、何時、どういう人々によって、どういう目的で書かれたかを正確に突き止めることは、聖書全体の内容をつかむ上で不可欠ですが、同時に極めて地道な研究を要する困難な課題です。考古学も含めた実証的な、科学的な研究が19世紀から行われるようになって、それは益々盛んになって来ています。小林先生の講義はその最先端を行っている研究です。その一端を講義で紹介してくださいます。

一方、新約聖書コースは、一言で言えば、新約聖書の救いの原理を信仰的且つ哲学的に究明しようとする研究の講義と言えます。新約聖書はイエス・キリストへの信仰によって「救われた」人々が、その救いの過程や原理――どのようにして人は永遠の命へと救われるか――を証ししている書物ですが、その救いの原理(――その最大のものがキリスト教の「愛」、つまり「アガペー」だと思われます)を徹底的に正確に究明しようとしています。新約聖書の文献学的・実証的研究も今では極めて盛んに行われていますが、この講義では聖書をどこまでも「信仰の書物」として受け止め、私たちが信仰において真理に導かれることを目的にしています。

両コースのこの違いは、そうでなければならないと決まっているわけではありません。旧約聖書も、例えばアブラハムの信仰に学ぶとか、ヨセフの信仰に注目するとか、モーセの十戒の意味を学ぶとか、のように、旧約聖書を信仰の書物として受け止め、信仰の真理を学ぶことができます。また上に述べたように、新約聖書も「古文書」として実証的・科学的に研究することができます。

私たちの講義は講師がそれぞれの目指すところに応じて、違ったタイプのものとなっていますが、その違いを念頭に置いてお聴きくださることが大切で有益だと思われます。

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